こんにちは、hiroshi と申します。
診療放射線技師になるには、最大の難関「国家試験」に合格しなくては診療放射線技師にはなれません。
ですが、国家試験は教科も多く内容も難しいですよね。
今まで学校の定期試験を一夜漬けで何とかクリアしてきた人にはかなりキツイでしょう。
勉強が苦手な人はどう勉強すればいいかわからないと思います。
そんなぼくでも国家試験に合格し、今では診療放射線技師として働いています。
今回、人一倍苦労したぼくが行った勉強方法を紹介します。
目次
馬鹿でも受かった国家試験の勉強法
1:まずは過去問
まずは過去問です。
今まで一度も解いたことがない人は、1年分を時間を計って一通り解いてみましょう。
全然分からなくても大丈夫です。
時間も余りまくると思います。
解き終わったら答え合わせをしましょう。
それが、今の自分の実力です。
ぼくは国家試験の過去問を初めて、まじめに解いたのは、最終学年の5月くらいだったのですが、わからなすぎて時間がかなり余りました。
点数も70点を超えてなかったと思います。
かなり焦りました。友達はこの時点で120点を超える人もいました。
今の実力を知ることはかなり大事です。
2:次に過去問
次も過去問です。
国家試験の勉強は何がなんでも過去問です。
国家試験は、解き続けているとあることに気が付くと思います。
それは、「似た問題が多い」ということです。
ぼくが学生の頃、非常勤の講師に国家試験の作成に携わったことがある方がいたのですが、その方いわく、「問題を作成する人は新しい問題を作りたがらない」らしいです。
新しい問題を作ると、ミスが起こりやすく、点数が付けられない問題になってしまう可能性があるからです。
そのため、問題の順番を変えたり、誤りを答えなさいなど、過去の問題を少し変えたものが多くなり、似た問題が多くなるのです。
極論を言ってしまえば、過去問を10年分くらい丸暗記すれば120点を超える可能性はあるということです…。
当たり前ですがそんな勉強の仕方はおすすめしません!
応用が全く効かなくなってしまいまうため、もし問題の傾向を変えられたらおしまいです。
ポイント
過去問は覚えるのではなく、理解しながら解いていきましょう。
勉強の仕方が分かってない人は、「理解しながら解く」のに慣れていないんだと思います。
「理解しながら解く」ことができないため、過去問を解いても、無意識に全部覚えようとしてしまいます。
全部覚えようとすると、わからないところが分からず、かなり苦労するでしょう。
実際、ぼくがそうでした。
ただでさえ、人一倍理解していなくて苦労していたのに、点数も伸びずメンタルもボロボロでした。
そんなぼくでも、勉強の仕方を変えただけで少しずつですが、点数が伸びていきました。
その勉強の仕方を、実際に過去問を解きながら説明していきます。
過去問の解き方
過去問を解いていくときにはいくつかのポイントがあります。
ポイント
・過去問は年数ごとではなく、各教科ごとに解いていく
・問題を解いていく上で大事なのは、「どこがなぜ違うか」を意識する
では、過去問を解いてい、解き方を確認しましょう。
放射化学の問題です。
1 ペーパークロマトグラフィに関係がないのはどれか。
1.Rf 値
2.原 点
3.カラム
4.スポット
5.展開溶媒
この問題は、「第72回 午前第1問」です。
まず問題文を見て、この問題は「答えが何を求めているのか」を確認します。
ペンでしるしをつけてもいいでしょう。
「ペーパークロマトグラフィに関係がないのはどれか。」
問題文を確認すると、今回は選択肢の中から「関係がないもの」を選ぶ問題ですね。
はじめに問題文を確認する理由は、イージーミスを防ぐためです。
問題文が「正しいもの」を求めているのか、「誤っているも」のを求めているのか、確認するクセをつけておくことでイージーミスを防ぐことができます。
次に選択肢を見ていきましょう。
1.Rf 値
2.原 点
3.カラム
4.スポット
5.展開溶媒
1~5の中でペーパークロマトグラフィに関係ない選択肢の「どこがなぜ違うか」を確認していきます。
はじめのうちは全然わからないと思うので、わからなかったときはすぐに答えを見ても大丈夫です。
教科書や参考書、インターネットを確認して、「答え」と「必要だと思った解説」を簡単にノートに書き出していきます。
このとき、文章だけでなくイラストや画像などがあると、より理解が深まります。
まとめ方の例①
A. 3.カラム → ペーパークロマトグラフィにはカラムは不要
・カラムとは、長細い配管に充填剤が充填されていたり、配管の内壁に液相が塗られているもの。
・カラムを用いる方法を総称してカラムクロマトグラフィ。
・クロマトグラフィはペーパー、薄層、カラムの3種類。
・カラムクロマトグラフィの中に吸着、イオン交換、ゲル、ガスが含まれる。
カラム
アジレント・テクノロジー株式会社より引用
・ペーパーには、Rf値、原点、スポット、展開溶媒は関係ある。
・Rf値は移動率とも呼ばれる。Rf値=b(㎝)またはc(㎝)/a(㎝)
・試料を原点に毛細管で塗布することをスポット。
こんな感じで解説や教科書、インターネットで調べたことを箇条書きでもいいので簡単にまとめていき、ドンドン次の問題に進んでいきましょう。
1年分が終わったら、同じ教科の次の年の問題をドンドン解いていきます。
教科は変えずに、同じ教科の問題を解きましょう。
すると、こんな問題が出てきます。
4 クロマトグラフィで正しいのはどれか。
1.薄層クロマトグラフィはカラムを用いる。
2.ガスクロマトグラフィはカラムに固定相を充塡する。
3.ペーパークロマトグラフィは吸着剤にアルミナを用いる。
4.イオン交換クロマトグラフィは固定相にシリカゲルを用いる。
5.ペーパークロマトグラフィは薄層クロマトグラフィよりも展開が迅速である。
この問題は前年の「第71回 午前第4問」です。
よく見ると、さっきの問題と同じようなクロマトグラフィに関する問題ですね。
まず問題文を見て、この問題は何を求めているのかを確認します。
4 クロマトグラフィで正しいのはどれか。
「正しいもの」を選ぶ問題ですね。ということは、4つが間違っているということです。
次に選択肢を確認していきましょう。
1.薄層クロマトグラフィはカラムを用いる。
2.ガスクロマトグラフィはカラムに固定相を充塡する。
3.ペーパークロマトグラフィは吸着剤にアルミナを用いる。
4.イオン交換クロマトグラフィは固定相にシリカゲルを用いる。
5.ペーパークロマトグラフィは薄層クロマトグラフィよりも展開が迅速である。
この時点で1は違うことがすぐにわかると思います。
さっきの「第72回 午前第1問」で簡単にまとめた解説の中にありましたよね。
まとめ方の例①
・クロマトグラフィはペーパー、薄層、カラムの3種類。
・カラムクロマトグラフィの中に吸着、イオン交換、ゲル、ガスが含まれる。
次に、残りの2~5の選択肢の中で「どこがなぜ違うか」を確認していきます。
知らないワードや、よくわからなかったことも簡単にまとめていきましょう。
まとめ方の例②
2.ガスクロマトグラフィはカラムに固定相を充塡する。→ 正解
・ガスの固定相は吸着材や多孔性物質、移動相はガス。
3.ペーパークロマトグラフィは吸着剤にアルミナを用いる。→ ペーパーの吸着材はろ紙を構成するセルロース。
・アルミナを用いるのは薄層。薄層は他にもシリカゲルなどの吸着材を固定相に用いる。
4.イオン交換クロマトグラフィは固定相にシリカゲルを用いる。→イオン交換の固定相はイオン交換樹脂。
・シリカゲルは薄層の吸着材。
・イオン交換樹脂を用いて放射性核種の分離・精製する。
・放射性核種の分離法の中で最も分離効果の高い方法。
5.ペーパークロマトグラフィは薄層クロマトグラフィよりも展開が迅速である。→迅速ではない。
・ペーパーより薄層の方が利点が多い。
・薄層の方が、展開が迅速、分解能、再現性がいい、より多量の試料を塗布できる。
・薄層の欠点は操作中に薄層がガラスからはがれ、はがれて乾燥した薄層が空気中に飛び散り、汚染する。
すぐに答えがわかったとしても、知らなかったことは調べておきましょう。
まとめ終わったら、ドンドン次の問題へ進みましょう。
今度は、「第69回 午前第3問」を見てみましょう。
3 クロマトグラフィで正しいのはどれか。
1.ペーパークロマトグラフィはカラムを用いる。
2.イオン交換クロマトグラフィはカラムを用いる。
3.ガスクロマトグラフィは固定相にガスを用いる。
4.薄層クロマトグラフィは移動相にガスを用いる。
5.イオン交換クロマトグラフィは昇華性を利用する。
この問題もクロマトグラフィの問題です。
この時点でもう答えはわかりますね。
そうです!
2.イオン交換クロマトグラフィはカラムを用いる。
ですね!
さっきほどまとめた解説の中に答えが書いてありますよね。
まとめ方の例①
・カラムクロマトグラフィの中に吸着、イオン交換、ゲル、ガスが含まれる。
他の選択肢も違うことがわかります。
解説にまとめてあるので、自信を持って答えることができます!
ポイント
これで、あなたはクロマトグラフィの問題を解けるようになりました!
この積み重ねで、解ける問題を増やしていくと、わかる問題が増えていき、あなたの点数は伸びていきます!
はじめのうちは、簡単でいいので解説を広めにまとめていくのがオススメです。
似た問題に遭遇したとき、わからなかったことや必要と思ったところは解説を書き足していきましょう。
続けていくうちに、解説の精度も高まっていき、自分だけの解説書が完成します。
注意ポイント
問題を解いていると、どうしてもわからない問題があると思います。
教科書、参考書を見てもよくわからないし、ネットで調べてもいまいちわからない。
そんなときは、こだわりすぎずに次の問題に進みましょう。
完璧に解説をまとめようとこだわる人がいますが、こだわりすぎてもダメです。
問題の中には、不適切問題といって、答えが間違っていて、点数にならない問題もあります。
そんな問題に引っかかて時間を無駄にするのはもったいないです。
自分で調べて、答えがでなかったときは先生や友達に質問して、それでもわからなかったらその問題は潔く捨てましょう!
勉強の進め方
- 過去問は年数ごとではなく、各教科ごとに解いていく
- 問題を解いていく上で大事なのは、「どこがなぜ違うか」を意識する
- イージーミスをなくすために、はじめは問題文の求めていることを確認する
- 選択肢の「どこがなぜちがう」のか調べて、簡単にまとめていく
- はじめのうちは広めに解説をまとめる
- 似た問題に遭遇したときでも、わからなかったことや必要と思ったところは解説を書き足していく
- どうしてもわからない問題は、こだわりすぎずにあきらめる
- 完璧にまとめようとしない
3:得意教科を作る
得意教科を作るのははかなり大事です。
まずは1つ何でもいいので絶対の自信が持てる教科を作りましょう。
過去問を解いていて、少しでも楽しいと思えた教科でもいいですし、質問しやすい優しい先生が担当する教科でもいいと思います。
得意教科を作る理由は、試験を受けるとき、心に余裕ができるからです。
国家試験が近くなると、学校で何度も過去問や模試など本番と同じように時間を計って解かされると思います。
試験のたびに緊張する人もするでしょう。
絶対の自信がある教科から解き始めることによって、緊張が和らぎます。
一種の精神安定剤ですね。
1つ得意な教科ができると他の教科も付随してできるようになっていきます。
例えば、基礎医学ができると、X線撮影技術学、放射線治療技術学ができるようになってきます。
問題をよく見てもらうと、基礎医学では、人間の体のことや、解剖学に関することが問題として出題されます。
X線撮影技術学では、解剖学に関する画像問題がよく出題されますよね。
放射線治療技術学では病気に関することが出題されるため、基礎医学の知識が生かされます。
そのため、1つの教科ができるようになると、知識がリンクして他の教科もできるようになっていくというわけです。
理解できればその分、解ける問題が増えていきます。
4:一通り解き終わったら繰り返す
このやり方で、各教科が一通り解き終わったらあとは繰り返すだけです。
はじめの方にやった教科はたぶん忘れていることも多いでしょう。
せっかく解いても、覚えるところは覚えないと点数にはつながりません。
ですが、理解しながら解いているので、すぐに思い出すこともできて、スムーズに進んでいくと思います。
また、1回目のまとめた解説が不十分に感じたときは追加で書き加えましょう。
わからなかった問題も同様に、わかった範囲で書き加えていけば、より理解が深まります。
2回目以降は何度も繰り返して解いていき、記憶を定着させていきましょう。
繰り返して解いた分、点数は上がっていくでしょう。
何度も見返しましょう!
この勉強法のメリット
1:自分の弱点がわかる
時間をかけて理解しながら勉強を進めていくため、自分の分かっていないところが分かってきます。
勉強の仕方が分からない人は、「自分が何が分かって、何が分かってないかを把握できていない」と思います。
やることはたくさんあるのは理解しているが、何をすればいいか分からない。
そんな状態になっているでしょう。
勉強を始めたとしても、分からないことだらけで、質問をしようとしても何が分かっていないかハッキリしていないため、質問も曖昧になる。
そのため、質問された人も何て答えればいいか分からず、曖昧な回答しかできなくなる。
教えてもらっても、なんかスッキリしない。
そんな経験から「人に質問したくない」と思ってしまう。
実際、ぼく自身がそうでした。
最悪な状況ですね。
1人だけで問題を解いていってもいいのですが、やはり1人だと壁にぶつかったとき、乗り超えるのに苦労します。
友達や先生に気軽に質問できるようになるためにも「ピンポイントの質問」ができるようになっておいて損はないです。
この方法で進めていけば、自分が分かっていないところつまり、弱点が明確化していきます。
選択肢ごとに解いていくので、質問するときも
「ここの解答が違う理由が分かりません」
「なんでこの選択肢は違うんですか?」
「ここは分かったんですが、ここが分かりません」
などの「ピンポイントの質問」ができるため、質問された人もハッキリとした回答をくれるでしょう。
また、覚えるべきところ、勉強に力を入れるべきところが明確になるため、効率よく勉強できます。
2:応用問題が解ける
上記にもあるように、この方法は解答を丸暗記せずに理解しながら進んでいくため、たとえ選択肢の順番が変えてあったり、正誤の答え方が変わった問題でも引っかからずに解答が出せるでしょう。
今まで見たことないような問題でも自分が持っている知識を駆使して解答を導くこともできます。
よく考えたら解けたなんて問題が毎年、数問出てきます。
点が取れる問題を取りこぼすのは、もったいないですよね。
丸暗記していると、選択肢の内容が少し変わったり、ちょっとしたことでド忘れしてしまうこともあると思います。
試験が終わったあとも、できたかどうかハッキリせずにモヤモヤしてしまいます。
そうならないためには応用問題にも対応できることが大事ですね。
この勉強法のデメリット
1:時間がかかる
1問ずつ理解しながら進んでいくため、当然、時間がかかります。
そのため、学校で行う模試などでなかなか点数が取れなくて焦ると思います。
結果が出ずに悩むことがあると思いますが、途中であきらめると中途半端になってしまい、もっと良くない結果になるでしょう。
ただ、1度解説をまとめてしまえば、過去問の2周目以降は問題を解くスピードが上がっていくので時間がかかるのははじめだけです。
わからないところや覚えるべきところが明確化するので、結果的に効率よく勉強できると思います。
あきらめずに勉強を進めていったらその分確実に点数は取れるようになります。
焦ることはないです。コツコツ進めていきましょう!
2:計算問題に弱い
これは何とも言いようがないのですが、やはり人には得意、不得意があります。
過去の問題を見ると、数字だけ変えられた問題もあり、公式さえ覚えれば解ける問題もあります。
ですが、そもそも計算問題が不得意な人にはキツイと思います。
ぼく自身、計算問題が不得意でかなりきつかったです。勉強のやる気をいっきに失うほどです。
特に医用工学がキツかったですね。
わかる人、得意な人は特に苦労せずにすんなり解けるでしょうが、そもそも公式を覚えたりするのが苦手だったので本当にキツかったです。
ただ、極論を言ってしまえば、国家試験の午前、午後を合わせた200問あるうち、数問しかない計算問題を全部捨てても、6割の120点以上取ってしまえば合格です。
ぼくはどうしても医用工学の計算問題ができなかったですし、勉強したくないと思ったので、捨てました…。
ですが、やはりこんなやり方はおすすめできません。
結果的にうまくいきましたが、学校の模試で点数が伸びないときは、やっておけばよかったと何度も後悔しました。
計算をしなくていい分、他の問題に時間を使うことができるメリットもあるのですが、覚悟が必要です。
まとめ
今回は、バカでも受かった勉強方法を紹介してきました。
勉強の進め方
- 過去問は年数ごとではなく、各教科ごとに解いていく
- 問題を解いていく上で大事なのは、「どこがなぜ違うか」を意識する
- イージーミスをなくすために、はじめは問題文の求めていることを確認する
- 選択肢の「どこがなぜちがう」のか調べて、簡単にまとめていく
- はじめのうちは広めに解説をまとめる
- 似た問題に遭遇したときでも、わからなかったことや必要と思ったところは解説を書き足していく
- どうしてもわからない問題は、こだわりすぎずにあきらめる
- 完璧にまとめようとしない
この流れでドンドン進んでいきましょう。
次にこの勉強方法のメリット・デメリットです。
メリット
- 自分の弱点が分かる
- 応用問題が解ける
デメリット
- 時間がかかる
- 計算問題に弱い
勉強のやり方が分からずに、悩んでいたぼくでも、診療放射線技師になれました。
はじめは点数が伸びなくて焦ると思います。
ですが、コツコツやり続けた分、点数も上がっていきます。
分からなかったところも分かるようになってきて、勉強することがツラくなくなりました。
悩んでいる方はぜひ参考にしてみてください。
国家試験の勉強で使っていたおすすめの参考書を紹介していますので、ぜひこちらも参考にしてください。
バカでも受かった診療放射線技師国家試験【おすすめ参考書】
今回は、以上になります。